あの日失くした星空に、君を映して。


開け放した窓から吹き抜ける蒸し暑い空気。


じわじわと背中に嫌な汗が浮かぶ中


「初めまして。えっと…鏡華ちゃん、でいいのかな?」


テーブル越しに向かい合う男の人が口を開いた。


この人が…大谷田さん…


お母さんよりも2つ年上と聞いていたけれど、想像していたよりもずっと若く見える。


第一印象が最悪とかだったらどんなによかったか。


性格も穏やかで、ラフな服装ではあるけれどきちんと着こなされた感じを見る限り、どこをとっても悪いところなんてない。


「鏡華!もう…ごめんなさい、この子ぼんやりしてて」


「いや、緊張するのは仕方ないよ。僕も昨日は眠れなかったんだ」


何も言えない私の前で交わされる会話。


お母さんもすごく自然体で接しているし、2人の仲がいいことがわかる。


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