あの日失くした星空に、君を映して。
靴箱の近くで担任の先生に見つかりはしたものの、幸い山本先生には遭遇しなかった。
それでも気を抜かずに校門を出た時、美里さんが立ち止まる。
「美里?」
急に足を止めた美里さんに風香が首を傾げるけれど、美里さんの視線は真っ直ぐに私に向く。
「ちょっと、いい?」
「え、うん…」
何だろう。
深影達に先に帰っててと伝えてから、美里さんについて行く。
学校からほど近い小さな公園の中に入ると、美里さんがくるりと振り向いた。
「聞きたいことがあるんやけど」
聞きたいこと…
引っ越しのことかな…もしかしたらって思っていたけれど、深影のことだったり…?
「深影とはどうするん?」
やっぱり、そうだ。
この話は美里さんから切り出されなくても言うつもりだったから、ここで怯んじゃダメだ。
「遠距離…になるんだと思う。深影とはちゃんと話してるよ」
つい数時間前に打ち明けたばかりなんだけれどね。
自分の気持ちを伝えた上で深影の返事も聞けたから、私はあれでいいと思ってる。
私の言葉に、美里さんは眉の辺りに深くシワを寄せた。
「ちゃんと話しとるんならいいけどさ…」
腑に落ちない、という風に語尾が薄れていくから私も納得がいかない。
何か気になることがあるのかな。