あの日失くした星空に、君を映して。


「鏡華?どうしたの…あら、深影くん」


私の肩越しに深影を見たお母さんが目を瞬かせる。


そうだよね、大谷田さん達じゃなくて深影がいるんだもん。


「こんばんは。ちょっと鏡華借りて行ってもいいですか?」


「なんだ、そんなこと?どうぞ持ってって」


トン、と私の背中を押してひらひらと手を振るお母さん。


持ってって、って…ひどくない?


娘を物か何かみたいに言わないでよ。


「遅くなってもいいからね」


「えっ、ちょ、お母さん…!?」


にっこりと笑って玄関の戸を閉められる。


ご丁寧に鍵まで。


待ってよ、私お腹空いてるんだけれど。


じゃなくて……


「もう…深影どうしたの?」


ご飯時だってわかってるはずなのに。


諦めて深影に向き直ると、深影は無表情で私の手を引いた。


「行こう」


深影の様子がおかしい。


歩調も合わせてくれているってより、足が重いって感じだし。


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