あの日失くした星空に、君を映して。


*

「寒いね」


ぶるりと身震いをしながら自分の体を片手で抱き締める。


海風も冷たかったけれど、高台であるここも相当寒い。


芝生の上に座って深影の手を引っ張ると、なだれ込むように私にもたれかかってきた。


聞いてもいいのかな。


ここに来るまでの間もずっと深影が何で海に行ったのか考えていたけれど、いまいちわからなくて。


なんて言い出せばいいのかわからなくて口ごもっていると、深影が私の肩に顔を埋めたままポツリポツリと話し出した。


「もう大丈夫やと思ってた」


「海が…?」


「ん。鏡華がいれば大丈夫って思っとったんやけど、無理やった」


そんな自分を責めるような言い方しないで。


悲痛げにも聞こえる深影の声から耳を塞ぎたくなるのを我慢する。


「変わるのって難しいな」


もしかして…あの日のこと?


銭湯の帰りに深影が私の家に来たとき。


佐山さんと高橋さんの写真を見たときのこと…?


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