あの日失くした星空に、君を映して。
私が頑張ろうねって言ったからだ。
「っ…深影、ごめっ」
「謝るなよ」
素早く伸びてきた手が私の口を塞ぐ。
静かな怒りを瞳の中に閉じ込めて、深影が私を見据える。
空に近いせいか月明かりが真っ直ぐに降りてきて、深影の表情が鮮明に浮き出された。
「最後くらい、良いとこ見せたかっただけだから」
嘘でしょ、そんなの。
無理してるのがまるわかりだよ。
「本当は?」
「…だから、良いとこ見せたかったんだって」
ほんっと頑固だよね深影って。
何度聞いても良いとこ見せたかったの一点張りでキリがない。
「ゆっくりでいいんだよ」
そんなこと言えば言うほど焦ってしまうんだろうけれど。
「心配しなくても、私は深影から離れられないの。好きだから」
久しぶりに口にした「好き」に、自分で言っておいて頬がカッと熱くなる。
無理やりまとめ込んだ感じになっちゃっけれど、ちゃんと伝わるかな。
「冬休みとか春休みとか、ちゃんと帰ってくるからさ。そしたらまた行ってみようよ」
無理に、とは言わないけれど深影が行きたいなら一緒に行こう。
ちゃんと進んでるよ、私も深影も。
だから大丈夫。
至近距離にいる深影に笑ってみせると、1つ瞬きをした後、ギュッと抱き締めてきた。
「深影…?」
「うん」
「どうしたの?」
「うん」
いや、「うん」だけじゃわかんないよ。