あの日失くした星空に、君を映して。
久しぶりにニシロ階段をのぼるときつくて、頂上についた時には息も切れ切れ。
ふくらはぎが痛くてその場に座り込む。
前は全然平気だったのに、運動不足かな。
最近少し余計なお肉がついたような気もするし、またニシロ階段をのぼるのを日課にしなきゃ。
春なのに額にじわりと滲んだ汗を拭って、何となしに草原に視線を走らせた時、誰かの背中が見えた。
頼りない柵の前に、いるのは。
「深影…」
小さな声で呟いたのに、届いたのだろうか。
弾かれたように振り向いた深影が大きく手を振った。
「深影、工藤くんに背抜かされちゃったんじゃない?」
駆け寄って一番に発した言葉がそれ。
深影も少し背が伸びた気がするけれど、工藤くんを見上げた時の方が首が痛かった。
「もうちょっと他のこと言えよ」
「うん、ごめんね」
不機嫌そうに寄せられた深影の眉の辺りを指で伸ばす。
しわが残ったら深影が強面になっちゃう。
それもちょっと見てみたい気がするけれどね。
多分、似合わないんだろうな。