あの日失くした星空に、君を映して。


昼前の柔らかい日差しの中で深影と向かい合って、同時に吹き出した。


「変わってないな、鏡華」


「深影もね」


会いたかった人。


離れている間、ずっと深影のことを考えていた。


何かしちゃったかなって思っていたけれど、普通だよね?


なら、駅に来なかったのはなんでだろう。


じーっと深影の顔を覗きこむうちに、だんだんとつま先立ちになる。


すると、サッと掠めるように軽くキスをされた。


「っ…深影!?何してんの」


「いや、して欲しいんかと思って」


そんなわけないじゃん。


…したくなかったわけじゃないけれどさ、不意打ちはずるい。


頬を赤くする私を見て笑っていた深影がふと真面目な顔になる。


そういう顔もずるい。


ずっと会ってなかったから、3割増しくらいでドキドキする。


「迎えに行けんでごめんな」


「いいけど…何かあったの?」


「ここで会いたかったから」


もしかして、ずっとここで待っていたの?


指先で深影の頬を撫でると、びっくりするくらいに冷え切っていた。


「まだ寒いんだから、風邪引くよ」


「いいよ」


「よくないって」


「鏡華がいるから、いい」


それが冗談じゃなくて真剣に言っていることなんだってわかるから、困る。


どうしようもなく嬉しくて。


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