あの日失くした星空に、君を映して。


片目で万華鏡を覗いていると深影の顔が見られなくて、そっと万華鏡を両手に抱える。


感極まって、泣いてしまいそうだった。


久しぶりに会えたのに、すぐに泣いたらまた泣き虫って言われちゃうな。


我慢しなきゃって思うのに、深影が穏やかに優しげに笑うから、瞬きと同時に左目から一筋の涙が零れた。


「っ…ありがとう…深影」


ありがとうじゃ足りないくらいの感情を胸の中に持て余す。


言葉だけじゃもうどうしようもなくて、深影の胸の中に飛び込んだ。


「ほんっと泣き虫」


ああ、やっぱり言われちゃった。


深影の服が涙で濡れていくのを感じながら、ぽつりと呟く。


「好き」


離れていた間、ずっと言いたかった。


メールでも電話でもなく、これだけは直接言いたかった。


「そういうことは目見て言えよ」


「うぅ…無理。今私すごい不細工だもん」


「はいはい」


納得いかないような声音で囁いて、背中を摩ってくれる。


あったかいな。


ずっとこの温もりに触れたかった。


恋しかったし、愛しかったよ。


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