あの日失くした星空に、君を映して。
夜11時。
少し早めの夕ご飯の後すぐに眠ってしまったせいで中途半端な時間に目が覚めた。
お母さんももう休んでいるみたいだったから勝手に抜け出しちゃったけれど、いいよね?
古い平屋を出て、長い階段を登る。
この上の高台は草原になっていると、どこかのおばあちゃんが言っていた。
もっともっとたくさんの星が見えるはずだから。
足が軽い。
捻挫なんてとっくに治ったし、体にはアザが残るものの、痛みはもうない。
そしてたどり着いた頂上。
「すごい………」
揺れる一面の芝生。
眼下に広がる海と、どこまでも続く星空。
思いのままに芝生に倒れ込む。
「綺麗……」
万華鏡みたい。
万華鏡は細い筒の中だけの世界だけれど、この星空は違う。
瞳いっぱいに映る星の全てが輝いて、風が吹き抜けるたびに雲が晴れる。