あの日失くした星空に、君を映して。
「じゃ、もう帰んな」
サッと立ち上がった深影が背中やお尻をはたいて私を見下ろす。
慌てて起き上がった私も同じように全身の草をはたいた。
「星見にくるのはいいけど、あんま遅くに来るなよ」
「えー」
夜遅くに来るのは危ないって言いたいのはわかる。
何となく言ってみただけ。
それなのに、伸びてきた手に頬をつままれた。
「いたたたた!深影!」
「えーじゃねぇよ。来るなら夕方にしろ、そっちも綺麗やから」
「そうなの?」
「保証する」
グニグニと好き放題に頬で遊ばれて、解放された時にはチリチリと痛むくらい。
「気をつけて帰んな」
言い残して、階段を足早に降りていく背中を見つめる。
雲の晴れた空は、清々しいほどに澄み切っていた。