あの日失くした星空に、君を映して。


ドキドキ、ドキドキ。


「俺が呼んだら入ってこいよー」


「う…はい…」


心臓が破裂しそうなくらいに跳ね上がる。


先に入っていった先生の声が中から聞こえて、変な汗まで出てきた。


「クラス替えもなく味気ない高校生活に花が咲く日が来たぞー」


ちょ、えっ?


先生何言ってるの!


私なんか花どころかそこら辺の塵だよ。


「ほい、じゃあどーぞ」


ものすごい投げやりな先生だな…


大きく深呼吸をして、ドアをスライドさせる。


一斉に視線が集まった。


私本当こういうの無理なんだけれど。


ビキッと音がしそうなくらいに固まってしまった私に、1人の男の子が手を振った。


「鏡華!」


ど真ん中の席で私を呼んだのは、あの日以来会うことのなかった深影。


いつまでも手を振り続ける深影に軽く手を振り返すと、ちょっと緊張がとけてきた。


「お、なんだ知り合いか!」


促されるままに教壇の前に立つと、人から見上げられる慣れないシチュエーションに声が出てこなくなる。


そんな中、もう一度深影を見ると


“が”

“ん”

“ば”

“れ”


と口だけを動かして言ってくれた。


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