あの日失くした星空に、君を映して。
*
放課後、全員分の化学のノートが集まったかを確認する佐山さんの机の横に立つ。
「あの…佐山さんこれ…」
クラス名簿のコピーにチェックを入れる佐山さんにノートを差し出す。
多分、私で最後なんだろうな。
積み重ねられた残り少しのノートタワーの分と、私のノートをカウントすれば、全員分が揃うはず。
「あ、ありがとー戸塚さん」
何でありがとうなんだろう。
化学の係が佐山さんとはいえ、預けるのは私なのだから、お礼を言うのはこっちだと思う。
もう佐山さんと私の他には誰もいない教室に、シャーペンの音だけが響く。
気まずくなる前に佐山さんの席を離れて、自分の荷物をカバンに詰める。
佐山さんの友達、もう帰っちゃったのかな。
いくらノートのチェックがあるからって、揃っているか確認して先生に持っていくだけなのに、待っててあげないんだ。
案外薄情な人達なんだね。
何か用事があるとかかもしれないけれど、3人揃ってそれはないだろうし。