あの日失くした星空に、君を映して。


「ここに来るとね」


ポツリと思ったことがそのまま口に出る。


自分自身でも驚きながら、言葉を続けた。


「空って毎日違うんだなあって思うの」


前にいた場所では


星が少ない、雲が厚い、風が強い、排気ガスが多い


そんなことだけで、空の違いを決めていた。


でも、ここは違う。


毎日違う位置にある星があれば、同じ位置にある星もある。


今日はあの星の瞬きが弱いとか


隣に並ぶ星が1つ増えたとか


そういうことが全部わかる、見える。


「そりゃあ、今日の空は明日にはないもんな」


「そうだね」


私はずっと、今日の空が明日同じように広がるんだと思っていた。


ただ見え方が違うだけで、空は変わらずそこにあるんだって。


けれど、そうじゃなかった。


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