あの日失くした星空に、君を映して。
「こん前さ、ここで初めて鏡華と会った時」
「うん?」
なんだろう…
「いいなあって言いよったやん?あれ、なんなん?」
確かにそんなことを言った気がする。
満天の星空を見て、言ったこと。
「万華鏡みたいだって思ったの」
「万華鏡って…あの筒の中にビーズやらが入っとるやつ?」
「うん」
世界は廻る。
私が万華鏡を回せば、そこにあったものは消えて、また違う世界ができる。
繰り返すうちにまたもとの模様に戻って、世界は廻る。
筒という名の箱に閉じ込められた星。
例えるならば夜空に散りばめられた星。
あの星にも限りはあるのかもしれない、それでも。
360度、世界を回しても終わりのない夜空が羨ましかった。