あの日失くした星空に、君を映して。


「鏡華」


ふわっと体に重みがのしかかって、頬に手が触れた。


抱きしめられて…る…?


「み、かげ…」


「泣くなよ」


優しく、でも力強く。


目元を覆う腕を押し上げられて、至近距離で深影と目が合う。


鼻先が触れ合う距離にドクッと心臓が跳ねた。


近いよ、深影。


ビックリして涙止まっちゃったし。


「……お前」


訝しげに目を細めた深影の指先が目元を滑る。


左目に残ったわずかな涙の粒を拭って私の上から退いた。


今…バレた?


涙もそうだけれど、全摘された場合は義眼がほとんど動かない。


だからどんなに本物に似せた義眼でも近付きすぎると変化に気付かれやすくなる。


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