あの日失くした星空に、君を映して。


「ほら、立てる?」


崩れた体制を直してくれた工藤くんを見上げる。


呆れ顔の工藤くん。


「あ、ありがと……」


「うん。早く行こう」


いつもは跳ねた黒髪が雨に濡れたせいでペタンと張り付いた工藤くんはなんていうか…色気がすごい。


水も滴るなんとやらって工藤くんみたいな人のことを言うんだろうな。


深影も濡れたらかっこいいのかな…


って…何考えてんの私。


雨のせいで寒いはずの体が熱く火照る。


指先まで熱くなっている気がして、握り合った手を解こうとしても工藤くんが離してくれなかった。


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