あの日失くした星空に、君を映して。
───ガラガラガラガラ
明かりが漏れる古い木の引き戸を開けると、ストーブの前の椅子に座る深影と風香がいた。
「やっと来たー。遅いよ!先入るとこやったんやからね」
「お前らが早すぎるんだよ」
文句の言い合いを始める風香と工藤くんを他所に、私は奥のすりガラスに目をやる。
モクモクと煙の立ち込めるすりガラスの中。
もしかして…銭湯?
「ほら、あんたらはよ入っといで!服は乾かしといてやるから!」
番台にかがんでいたらしい大柄なおばさんがバサッと4枚投げてくれたのは、バスタオル。
「着替えは適当に用意しとくからね」
とおばさんは番台の奥に行ってしまった。
「さ、行くぞー幸久…ってお前ら何その手」
「……っ!」
バッと勢いよく解かれた手。
そういえば…工藤くんと手繋ぎっぱなしだった。
「あっ、ごめんね…」
「いや……」
………どうしようこの雰囲気。
深影は黙ったままだし、風香はなんか口元に手を当ててるし。