あの日失くした星空に、君を映して。


思う存分に足を伸ばしたり、両腕を上げて伸びをしたり。


銭湯を堪能していたとき、風香がさっきのことを訊いてきた。


「でさ、さっきの何やったん?幸久と手繋いでたの!」


「えーと…それは深い意味はなくて」


あーもう、こんなこと言う方が余計に怪しいのに。


ほら、風香ニヤけてるし…


「そんなわけないやーん!幸久があんなんするなんか珍しいんよ?」


「それは…そうだろうけど…」


手を繋ぐこと自体、私でもそんなにしないのに工藤くんだと尚更だ。


でも今回のは本当に深い意味はない。


「鏡華は幸久のことどう思っとんの?」


どう?どうって…


「可愛い…とは思うけど」


「可愛い!?どこがよ」


跳ねた髪とか、フラスパンをまるまる食べるところとか、後深影の無茶ぶりにも何だかんだ付き合ってるところとか?


見た目はかっこよくて、内面は可愛いってギャップそのものは好きだけれど…


その好きはあくまでも友達としてであって、風香が想像しているようなものじゃないと思う。


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