あの日失くした星空に、君を映して。
本当に逆上せてしまう前に脱衣所に上がると見覚えのないTシャツと短パンが置かれていた。
「下着は置いとるけん、それに着替えて、制服もすぐ乾くわ」
番台から顔を覗かせたおばさんに言われて、いそいそと着替える。
外の雨音全然しないけど、もしかして雨止んだのかな。
「鏡華、髪乾かさせてくれん?」
「え…うん、いいよ」
いつもはツインテールの長い髪をタオルでまとめあげた風香に手招きされて、丸椅子に座る。
私はそんなに髪が長くないから風香が先に乾かせばいいのに。
胸元までの髪はいつもおろしているから面白みもなにもない。
お風呂に入っている間も風香は髪をアップにしていたけれど、洗っているときはすごく綺麗だった。
ずっとこの長さをキープしているし、今度は伸ばしてみようかな…
ドライヤーの温もりが気持ちよくて、だんだん眠くなってくる。
お風呂上がりってものすごく眠くなるんだよね。
子供かって言われちゃうかもだけれど、睡魔には逆らえない。
何とか首がコクコクなるのを耐えて、髪が乾き終わるのを待つ。
「はい、終了ー」
満足そうな風香の顔が鏡に映る。
「風香は?」
「あたしは家に帰ってからでいいよ。時間かかるし、幸久達もう上がっとるやろ多分」