ある本当の物語.【実話】
中に入ると女の人が、ぐっすり眠っている子供を庇うように抱いていた。
彼女は我々を警戒しているようだった。
「未来の王は宮殿ではなくこんな貧しい所に居られたのか...」
「こら、失礼では無いか。神の子だからと言って、宮殿で生まれるとは決まっていないだろう!」
叱られている場面を誤魔化すように、もう一人の学者は自己紹介を始めた。
「はじめまして、若いご婦人...そして未来のユダヤの王よ。
私たちは東の国からあなた様を拝むためにやってまいりました。 」
「その子に囁か〈ササヤカ〉な贈り物をきました。」
学者たちはそれぞれ贈り物を風呂敷から出して、イエスの前に置いた。
贈り物は黄金、没薬、乳香だった。
そして跪き〈ヒザマズキ〉、神の子を拝んだ。