桜舞う夜
桜舞う夜
毎朝、同じ時間にカフェに寄る。
朝の慌ただしさをかいくぐり、熱々のコーヒーを買ってから出勤するのが私の日課になっていた。
そして、毎朝同じようにカフェのレジで注文を受けてくれる彼に、私は癒されていた。
朝の陽差しが入り込むレジカウンターに顔を出せば、彼がおはようございます。の挨拶と笑顔で迎えてくれる。
彼にすれば、笑顔も挨拶も仕事なのだから当たり前のこと。
それでも、勝手に癒しをもらえると、私は一人心の内で朝のそのひと時を楽しみにしていた。
「おはようございます。いつものですか?」
バッグの中からお財布を取り出す私へ、彼は今日も素敵な笑顔をくれる。
朝陽に透ける彼の髪の毛が、柔らかく茶色に輝いている。
キラキラしていて、綺麗。
話したあとに、口角がキュッと上がるところが子供っぽいのに愛らしい。
そんなレジの彼に、満面の笑顔で頷く私。
熱々のコーヒーが好きな私は、初めの頃に何度か「熱めにしてください」とお願いをしていた。
それが今では口に出さなくても。
「エクストラホットで」
彼が奥のバリスタに伝えてくれる。
この特別感が、嬉しい。
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