桜舞う夜
仕事終わり。
私は公園のベンチで、街頭に照らされた満開の夜桜を見上げる。
少しすると、サクサクと土を踏むスニーカーの音と共にカフェの彼が来た。
両手には、カフェのコーヒー。
一つを私にくれる。
「熱いので、気をつけて」
まだ肌寒い春の夜風に、コーヒーの温かさが嬉しい。
朝もらった賑やかなカップには、彼からのメッセージが書かれていた。
―――― 今夜、一緒に夜桜をみませんか? ――――
そして、今貰ったカップには ――――。
春の夜風に桜が降る
はらりはらりと優しい色が、二人の上に優しく舞った。
おしまい