咲かない花
「・・・見た、の。土曜日。二宮くん、彼女と、一緒だった。カフェ、入ったでしょ・・・」
「え!てか、だから、林は俺の“彼女”じゃなくて、クラスメイトで。1年くらい会ってなかったし。俺、いまだに林の番号とアドレス知らねえし。あいつの彼が“知らんでいい”って言って。俺も知らんでいいと思ったから、結局そんままで。あの、ちなみに、林の彼、川原って言うんですけど、林と一緒に行ったカフェでパティシエしてるんだ。香水探すの手伝ってくれた礼に、一杯奢ろうと思って。林がいなかったら俺、マジで見つけることできなかったし。だから・・・ごめん」
「ちがうの・・・。コロン探してくれたこととか、プレゼントしてくれたことは、本当に嬉し、かった。でも・・・林さんと一緒にいる二宮くん見て、やっぱり、ダメだって・・・わたし、あなたから見たら、オバサンで・・」
「そんなことねえ!」
「今はそう思ってても、そのうち・・・何年か、ううん、何ヶ月か経てば、きっと・・・嫌でも年の差感じる。2つや3つならまだいい。でもやっぱり、7つか8つって・・・埋まらない。二宮くん、私にすぐ飽きて、私より若い子に目が行く」
「・・・なんでそんなこと言うんだよ」
「それが・・・現実だから」

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