咲かない花
「・・・・ぅ、ん・・・」

目を覚ますと、ベッドには私ひとりしかいなかった。
カーテンの隙間から、明るい陽射しが部屋に差し込んでいる。
てことは、今何時だろ。

私は、うーんと伸びをすると、ダブルベッドから下りた。



『茉莉さんへ
おはよ。うちにあるもん、好きに食べて飲んでください(あんまないけど)。
今日は富士見第一体育館で県予選です。遠いから、うちに着くのは夕方になると思う。
この鍵は茉莉さんのだから。持ってて。 大輔』

ダイニングテーブルに置いてあった手紙に、重しのように真新しい鍵が置いてあった。
これで今日一日、二宮くんちに缶詰めという事態は避けられたものの・・・。

なんか、親密。

私は、手紙をバッグに入れて鍵を持つと、早々に二宮くんちを出た。

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