咲かない花
「あのぅ。私、そういうの使わないから・・・」
「でもこちらのセットの方が、結果的にはかなりお得になりますよ？」
「彼女はこれがいいって言ってるんで。茉莉さん、カバー何色にする？」

え？「マリさん」って・・・。
二宮くんに突然そう呼ばれた私は、ちょっとドキッとしてしまった。

「あ・・・何色があるんでしたっけ」
「こちらがサンプルです」
「わぁ。いっぱいあるんだねー」
「俺のはこの色」

と言って二宮くんが指したのは、濃紺だった。

「二宮くんらしいね」
「そう？」
「うん。じゃあ私は・・・オレンジか赤か、迷うなぁ」
「オレンジにしたら？」
「そうだね・・・うん。じゃあオレンジに、オレンジマークはシルバーで」
「かしこまりました。お買い上げ、どうもありがとうございます」


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