咲かない花
スマホ一つ買うのも、私にかかると大仕事になってしまうのか。
いやいや、機械関係は苦手な分野だから・・・。

とにかく私は、お店を出た途端、安堵の息をつくと、二宮くんに「ありがとう」とお礼を言った。

「二宮くんが一緒に来てくれて、ホント助かりました」
「菱ヶ谷さん、こういうの苦手っぽいっすよね」
「ははっ。そーだねー」

あ。二宮くん、今度はフツーに「菱ヶ谷さん」に呼び方戻った。
「なんだ」という気持ちと、それ以上にホッとした気持ちが、胸の内を交差した。
だからなのか、「せっかく新しいスマホ買ったんだし。番号交換しましょう」という二宮くんの提案を、私はすんなり受け入れていた。

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