咲かない花
「・・・ところで。なんでスマホ、壊れたの?」
「ボールが当たって、画面にヒビ入ったんです。それでも使えたんだけど、やっぱ見づらくて」
「そうだろうねぇ。ボールって、バレーボール?」
「はい。サーブがそれて椅子に当たってー、その上に置いてた俺のスマホが落ちてー」
「うわぁ。見事だね」
「マジナイッサー。ま、そこに置いてた俺が悪いんすけど。あれは1年ちょい使ったから、まぁいっかってふっ切れたけど、これがまだ1週間とかだったら、俺泣いただろーなぁ」
「あぁ分かるー」
「菱ヶ谷さんは?ついに携帯壊れた?」
「“ついに”って・・・まぁそうだね。壁に向かって投げたら、テーブルに当たっちゃって」
「携帯投げたの!?マジで?どーしたんすか。何かあった?」
「うん・・・」
「於保さんにいじられた?」
「あの人は私をいじったりしないよ」
「えー?あの人、結構いじり好きじゃねー?」
「そかなぁ。私には至ってフツーに優しいよ?」
「女だからだ。絶対。あの人、俺とか部員とか男子生徒には、いっつもいじってばっかだし」と言う割には、二宮くんは嫌がってないようだ。

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