咲かない花
「うん、分かった。ありがとう」
「は?なんで礼言われなきゃいけねえんだよ」
「あなたの律義さに。このまま連絡が途切れて自然消滅という形もできたのに、わざわざ別れを切り出してくれたから」
「・・・おまえのそーいうヘンな思考は、やっぱ理解できんわ」
「だったら、別れて正解だね」
「てかおまえさ、すでに他に男いるんだろ」
「え?なんでそうなるのよ。あなたと一緒にしないでくれる?」
「だったら、もっと悲しむとか怒鳴るとかしろよ!ったく、俺はおまえの何だったんだよ、ムカつく!」

逆ギレした彼、じゃない元カレは、一方的に喚いた後、ブチッとスマホを切った。

「・・・何よ。私だって・・・ムカついてんだよっ!」

私は行き場のない怒りと苛立ちを、手に持ってた携帯にぶつけるべく、それを壁に向かって思いっきり投げつけた。
でも、「あ、しまった・・・!」と思ったときにはもう遅くて。

「あーあ。そんなに力一杯投げたつもりないのに。大体、私程度の非力じゃ、ダメージなんてないと思ってたのに・・・」

私は、完全に壊れてしまった携帯に「ごめんね」と謝りつつ、これを機に、スマホデビューをすることにした。

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