咲かない花
俊子ちゃんは、必死の面持で二宮くんに赤い紙袋を渡すと、何か言ってる。
声は聞こえるけど、何て言ってるのかまでは、ハッキリ分からない。
二宮くんは躊躇しつつ・・・結局その紙袋を受け取ると、俊子ちゃんはパッと笑顔になって。
二宮くんに一礼すると、向こうへ駆けて行った。

・・・そうか。
東内さんに言った「好きな人がいる」っていうのは、口実か、少なくとも私じゃないってことか。

二宮くんから告白されて・・・もう2ヶ月半くらい経ったし。
あっちからは何も言ってこないし、あれから一度も電話もかけてこないし。
もう告白したことすら忘れてるのかもしれない。若さゆえに。

「たった今から俺のことを、恋愛対象として見てください」なんてキザなセリフを言っておきながら・・・。
若気の至りってやつかな。

でも、私だってあえて二宮くんには何もせず、何も言わなかったんだし。
「それが答えだ」と受け取られても・・・仕方ない。

だから、まだ心に残っている根を、全部引っこ抜かないと。

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