咲かない花
「今から大輔んとこのバレークラブと、“試合”するんですよ」と於保先生に言われて、またあちら側のコートを見ると、二宮くんの周りは、どう見ても高校生より年上の男性ばかりいる。

ていうか、あの中では二宮くんが一番若く見える。

「てめえらーっ!若造だからって手加減しねえからなーっ!」
「またコテンパンにやっつけてやらぁ!」
「望むところです!」
「いつでも来いです!」と言い合ってる両チームは、どちらも元気いっぱいだ。

そんな中、私を呼んだ二宮くんは、部員の男子生徒たちに叫ぶこともなく、黙々とストレッチを続けている。
なんか・・・声かけづらい、と言うより、今声かけても無視されそう。
それだけ二宮くんは、集中しているように見える。

でも。
目つきが鋭くなった二宮くんの顔は、ますますカッコいいし、膝にサポーターをつけているバレーボールルックもキマッてる。
彼がプレイしてるところをデッサンしたいな。

と思い至って気がついた。

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