咲かない花
いやいや!
ダメ!!
絶対ダメッ!!!

8つ年上の彼女というカップルは、この世に存在するだろうけど、オバサンな私と、爽やかスポーツマンなイケメンの二宮くんという組み合わせなんて、やっぱり・・・釣り合わない。

だから、バレーの試合は観に行かなくてよかったんだ。
もし行ってたら、他のメンバーの彼女さんや奥さんとも会うことになるだろうし。
その人たちに勘ぐられでもしたら・・・。
ヘタすると、二宮くんが「俺の彼女です!」とか触れ回りそうだし!

私はため息をつきながら、テーブルに置いているスケッチブックを手に取った。
開かれているページには、二宮くんがアタックをしている姿が鉛筆で描かれている。
描いたのは、もちろん私だ。

キレイなフォームだったなぁ。
二宮くんらしい清々しさがあって。
まだ私の脳裏に焼きついてる。
試合観に行ってれば、もっと見れたかも・・・。

そう!だから観に行かなくてよかったのよ!
行けば、二宮くんの姿ばかり目で追いかけて・・・。

「・・・やめなきゃ」

もうやめないと。
これ以上二宮くんのこと考えるのは・・・。

切なくなった私の目に、涙がじんわり浮かんでしまった。

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