ビターチョコレート!
カカオ90%
仕事が忙しく、不眠が続いていたある日。
朝起きると、体がだるかった。
頭が痛くて、喉も痛かった。
体が熱い。
起きなきゃ………
伊織くんにご飯を作らなきゃ………。
だけど体が言うことを聞いてくれない。
いつも起きる時間になっても、起きてこない私を不思議に思ったのか伊織くんがドアをノックしてきた。
「みおり?どうした?」
優しくて落ち着いた声を久しぶりに聞いた。
喉が痛くて、声が出ない。
「入るぞ」
そう言うと同時に、ドアが開いた。
熱で真っ赤な私を見て、伊織くんは驚いた顔をした。
おでこに手を当てた。
「…熱あるじゃん」
「寝てれば良くなるよ」
ガラガラの声で私は言った。
おとなしく1日寝てれば熱は下がる。
だけれど、伊織くんは
「今、薬と熱さまシート持ってくるから」
そう言って部屋を出て行った。
伊織くんに優しくされると嬉しいけど、胸の奥がなんだか痛くなる。
ほどなくして伊織くんは、それらを持って戻ってきた。
「ちょっと冷たいぞ」
熱さまシートをおでこに貼ってくれた。
「…あ…りがとう」
私がお礼を言うと、頭を優しく撫でてくれた。
「お粥でも作ろうか?空きっ腹で薬飲んじゃダメだからな」
こくんと頷くと、待ってろって言って部屋を出た。