[短編]ラブゲーム
「こんちは、凌です」
初めて凌を見たとき、自分の意思がなさそうで流されるタイプだ、と感じ、それから私の世話係にした。
世話係、なんていう大げさなものではないが、どこかにいくときは必ずついてこさせた。
そして、いまだ2年たっても、放課後のカラオケや、ゲーセンにも迎えにきてくれる。
遊び相手の男には見られないように、解散したあとでこっそり来る。
「凌、明日は放課後ボーリング行ってくるから♪迎え来てくれるよね?」
にっこりえくぼを作って笑えば、絶対聞いてくれる。
私は、自分の顔の使い道をちゃんとわかっていた。
案の定、凌はすぐ頷いた。
「あぁ」
凌は、そこらへんに普通にいそうなヤンキーみたいにだぼっとしたジャージを、いつも着ている。
メーカーを調べてみると、若者に人気なおしゃれなスポーツブランドのジャージらしい。
決してダサいわけではないのだ。
ただ、自分の“心”がなさそうな感じ。
そこに惹かれて、多分恋をした。