透明ガール
夏休み
テストという難所を無事に通過し、赤点の課題はゼロ。
夏休みに入ってからは何もせずにベッドの上で毎日ぐーたら。
この日もエアコンのかかった部屋で快適に過ごしていた。
そんななか、部屋に小さな音が響いた。
電話の着信音だ。
普段は聞かない電話の着信音を、不思議に思いながらスマホを手に取る。
見ると、画面には冬華という文字が。
なんだろう。
「もしもし?」
『あっ、沙奈?あのさー明日暇?ってか暇だよね!』
「なんで断定してんの。まぁ暇だけども」
こんなに暑い日にも冬華の声には活気がある。
夏バテで食べ物がろくに食べられない私と変わってほしい。
『明日クラスのみんなでプールに行くんだけど、沙奈も一緒にい…』
「行きません」
一言を残し、そのまま指は通話終了ボタンを押した。
あっぶね。
この快適な場所から出なくてはいけなくなるとこだっ…