透明ガール
少し考える素振りを見せて、榎本は答えた。



「仕事は大変だけど、皆んなと一緒にやるのがすごく好きだから」



「私も…おんなじ」



何故だか言うのが照れ臭くなって、唇を少し噛むようにして笑った。



「皆んなが楽しめる文化祭にしようね」



頬が紅いことがバレないように、俯きながら小さな声で呟いた。



きっと榎本が違う答えをしていたら、私はこんなことを榎本に言わなかったと思う。



私とは格が違うから、と遠ざけていた榎本に。



「んっ?何か言った?」



当の本人は聞いていなかった様ですが。



「……何も。あ、此処じゃない?第二会議室」



いつの間にか北棟にある会議室までたどり着いていた。



中にはもうすでに何人かの生徒が集まっている。



「入って良いのかな?」



榎本は首を傾げてぽつりと呟くと、部屋へと足を踏み入れた。













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