透明ガール

準備期間

キーン コーン カーン コーン



朝の爽やかな日光がそそがれている校舎に機械的な音が響く。



そして私は今、全速力で廊下を走っている。



「榎本っ、今のは何のチャイムっ…⁉︎」



「多分一時限目開始の…っ!」



同じように横を走っている榎本が、足は止めずに答える。



実行委員の話し合いがあるから、とHRの時間を抜けたはいいものの、話し合いが休み時間まで伸びこんでしまったのだ。



一時限目は文化祭準備だ。



文化祭まであと残り1週間となり、すでに内装、看板、チラシ、衣装作りが始まっている。



決まり上、実行委員がクラスに1人もいない時は、刃物や学校のペンなどの様々な道具を使ってはいけない。



クラス担任はそれぐらいのことをしていても見逃してくれる。



しかし、見回りをしている計8人の副担任に見られたら話は別だ。



確実に今日の一時限目を自習時間にされる。



現に昨日、F組が3時間分自習にされていた。



そうなったら…やばい。


確実に当日に間に合わない。



先生が来る前に教室に辿り着かなければ…‼︎



< 17 / 112 >

この作品をシェア

pagetop