透明ガール

文化祭①


「よかったー、ぎりぎり間にあっ…ぐはっ‼︎」



まるで体当たりでもするように、その人に冬華が飛びつく。



変な声をあげてよろめき、2人一緒に床に倒れた。



「か、桂木…大丈夫?」



下敷きになった桂木に声をかけると、桂木は答える代わりに手をぴらぴらと振った。



そして、「よいしょっ」と言いながら体を起こす。



「沙奈、何してたの⁉︎電話したんだよ?みんなも心配してたんだよ⁉︎」



八方美人でいつも冷静な冬華が、珍しく声を荒げる。



「うん…ごめんね。急いでたから気がつかなくて…」




何かを言おうとしたのか、冬華が口を開こうとしたが動きがぴたりと止まった。


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