透明ガール

ああああ…



のたうち回りたいのを必死に堪える。



落ち着け沙奈。



もう着てしまったものは仕方がない、と自分に言い聞かせる。



大きく息を吸ってはき出す。



そうだ、落ち込んでいる暇はない。



時計を見るともう始まる時間だ。



手で音を大きく鳴らすと、騒がしかった教室が静かになる。



「皆んな、もうすぐ文化祭が始まります。私達1年B組全員の力で、優秀賞をとりましょうっ!」



「はいっ!」



見事に揃った返事と同時に、開幕を知らせるチャイムが鳴った。
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