透明ガール

文化祭④


さっきの会話からしばらく、話もせずに黙々と見回りを続けていた。



あと、30分で12時…



もうそろそろ自分のクラスに戻らないといけない。



そう思いながらふと通ったクラスを見ると、教室がまるで縁日のようになっている。



綿あめ、あんず、それにチョコバナナ。



あっ、チョコバナナ…



チョコバナナは私がとても好きな食べ物だ。



それに、ちょうど今は並んでいる人が少ない。



食べたいけれど仕事がある。



どうしようかと悩んでいると、



「買ってきていいよ?ここで待ってるから」



「えっ?」



「食べたいんでしょ?買ってきなよ」



何で分かったの?



と、思ったものの、尋ねずにお言葉に甘えることにした。



チョコバナナにしては珍しく、ホワイトチョコと普通ので2種類あった。



少しの間悩んだが、結局は普通の物を選んだ。



受け取ったチョコバナナを手に持ち、急いで榎本の元に行く。
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