透明ガール
2時間があっという間に過ぎ、解散になった。
結局一曲も歌わなかった。
本当に体調が酷くなっていたのだ。
息をするのが辛くなり、目は潤んできた。
帰る準備をして立ち上がろうとするが、体にうまく力が入らない。
机に手をついてゆっくり立ち上がろうとすると、横から肩の辺りを支えられる。
「あ、ありがと」
「やっぱり酷くなってる…辛いよね」
榎本が顔を覗き込んできて言った。
マスクはつけているものの、顔が近い。
これ以上体温を上げさせないでほしい。