透明ガール
さすがにおんぶは嫌だ。
だって高校生だよ?
それに…
「重いし…」
「重くないよ、大丈夫大丈夫」
「そうよ。だって沙奈、たったのよんじゅう…」
「冬華は黙っていて下さい」
私の個人情報を漏えいしようとした冬華の言葉を途中で遮る。
「たぶん桂木が歩くより俺が背負った方が早く着くから、な?」
「うっ…」
それは榎本の言うとおりだ。
それに、もう頭がもうろうとしてきて考えることも辛い。
仕方がない、
「…お願いします」
そう言いながら榎本に乗っかる。
すると、榎本はひょいっと立ち上がった。
体をあずけ、腕を肩の上からまわすと楽になった。
「榎本よろしくね。沙奈、ばいばい」
冬華に見送られて、榎本が歩き始めた。