透明ガール
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榎本の後ろ姿を見送り、息を殺して姉の様子をうかがう。
その人は貼り付けたような笑顔を無くし、無言で鍵を開け家に入った。
その瞬間思わず小さく息がもれた。
体の中から感じていた寒気に身震いし、速くなった心臓の動きを鎮める。
音がしなくなったのを確認してからゆっくりと家の中に入る。
靴を脱ぎ、音を立てないようにしながら、普段の何倍も動きにくい身体で階段を素早く上がる。
部屋に入ると、そのまま倒れこむように制服のままベッドに寝っ転がった。
帰り、遅い筈だったのに…
そう考えるが今更遅い。
今日はお風呂は入らないで寝よう。
そのとき、私は気がついた。
…ちょっと待って、
鍵、閉めてない。
身体の辛さも忘れ、素早い動きで起き上がる。
しかし、もうすでに遅かった。
私がドアに近づく前に、ドアノブが音をたててまわった。