透明ガール
「おはよ」
その声にうとうとしかけていた体を瞬時に起こす。
通りざまにそう言った桂木は、伊藤と話しながら自席に行き腰を下ろした。
「桂木おはよ。熱、大丈夫だった?」
席に座って教科書を取り出している桂木に声をかける。
「えへへ、1日寝たら治ったよー」
「そっか、よかった」
頰を綻ばせて笑うのはいつもの桂木だった。
ほっとする、というのはこういう事を言うのだろう。
あ、そうだ。
聞きたいことあったんだった。
「桂木あのさ、」
「うん?」
「桂木のお姉さ…ぅぐっ⁉︎」
頬をぐいっと押され変な声がでた。
言葉を遮ったその手は、伊藤だった。