透明ガール

「えっ⁉︎ちょっ…冬華なにしてっ…。榎本、大丈夫⁉︎」



突然の行動に、桂木が慌てている。



…そりゃあそうだ。



実際、俺自身も何が起こっているのかよく分からない。



そんなことを気にもせず伊藤は俺の腕を掴む。



そして、


「沙奈、ちょーっと榎本、借りるね」



桂木の方を向いて、にこやかに笑いながらそう言った。



「う、うん」


コクコクと首が上下に動いたのを確認すると、そのまま強い力で腕を引かれ、廊下に連れ出された。



廊下の端まで行くと伊藤の手が離れた。



「な、なんだよ?」


疑問を口にだし、質問を投げかける。



しかし、伊藤は口を閉ざしたままだ。

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