コバルトブルーの海の家
~5~ 最後の1週間
お盆を過ぎた海は、客層が変わっていた。
サーファー中心で、家族連れは少なくなった。
カキ氷を運ぶ私は、何度か声をかけられる。
私も里香も、適当に断りながら、仕事をこなす。
私は、軽い男の人が嫌い。
最初に付き合った男の子が、二股をかけていた。
男は裏切るものって覚えたのは、あいつのおかげ。
軽い男の人は苦手。
だから、こういう風に軽く声をかけてくる人も実は怖かったりする。
「ねぇ、ねぇ!姉ちゃん、バイト何時に終わる?今日、夜飲み行かない?」
真っ黒な肌だけど、翔太さんとは種類が違う気がした。
どうしてだろう。
翔太さんにしか、魅力を感じない。
「すいません!禁止されてるんで~!」
断るのは慣れたけど、結構みんなしつこくて、疲れる。
休憩で、海に出ていた翔太さんが、こっちに向かって歩いているのを見つけた。
見られたくないと思った。
声をかける人と仲良く話してると思われたくない。
「いいじゃん!花火やろうよ!花火!夜、ここで待ってるからどう?」
私は、曖昧に笑ってその場を離れようとした。
「何、無視してんだよ!!」
大きな声で呼び止められた。
怖い…