コバルトブルーの海の家
「最後はやっぱコレやろ!」
翔太さんがビニール袋の中から取り出したのは、線香花火。
一人ずつに、線香花火を手渡しして行く姿をただ見つめていた。
この線香花火が最後まで落ちなかったら、私・・・告白しようかな。
伝えるだけでいい。
好きだって言いたい。
「誰が最後まで落ちんと残ってるか競争やで!最初に落ちたヤツ、花火の片付けよろしく!」
翔太さんが砂浜に立てたろうそくに、みんなが線香花火を近付けた。
揺れる炎を消えないように、翔太さんは手で風をよける。
「ドキドキするね~!」
「線香花火ってなんだか寂しいね。明日帰るの嫌だよ…」
せっかく仲良くなった仲間とのお別れは、なんとも言えない寂しさだった。
部活もやっていなかった私にとって、初めてできた仲間だった。
友達はいるけど、こんな風にみんなで同じ目標に向かって頑張ったりしたことはない。
戻れるなら、中学に戻って、好きだったバスケ部に入りたいな…
「うっわぁ!落ちた!」
いつも威張ってる一番年上の男の人の線香花火が落ちて、みんなが笑った。