コバルトブルーの海の家
本心だった。
焦っても、無理しても、辛いのは自分なんだ。
わかるから…
痛いくらいにわかるから、私は無理して欲しくなかった。
「ありがとうな。ほんまお前は俺の気持ちめっちゃわかってくれるなぁ。もう少し時間くれ。今夜中には、投げるから!」
翔太さんは、指輪を一度外し、海に投げる真似をした。
そして、もう一度左手の薬指に戻し、夜空を見上げてため息をついた。
「で、お前は何すんの?勇気のない俺はほっといて、お前が先に前に進めや!」
まだ体がくっついたままだった。
こんな状態で言えるわけない。
私の心臓の音が絶対に翔太さんに聞こえる。
それに、明日からどんな顔して会えばいいの?
でも、今しかないかも知れない。
2人きりになれるのは、今夜が最後かも知れない。