コバルトブルーの海の家
~3~ 薬指の指輪
「オーナーがスイカくれたで!みんなでスイカ割りしようや!」
翔太さんは、子供のような無邪気な表情で、大きなスイカを頭の上まで持ち上げた。
スイカを持ち上げる翔太さんの腕の筋肉がたくましくて、ドキドキしていた。
あの腕に、ぎゅって抱きしめられる女性がいるんだと思うと、胸の奥が苦しかった。
知ってるんだ。
好きになる前からずっとね。
翔太さんの、左手の薬指の指輪。
翔太さんには、彼女がいる。
ゴツゴツとした指輪。
でも、ただのお洒落で付けてるわけじゃない。
大事な人がいるんだ。
目撃してしまった。
眠れない夜に、私が一人で浜辺を歩いていた日のこと。
砂浜に座った翔太さんが、誰かと電話をしていた。
わかるんだ。
翔太さんのあの素敵な笑顔は、愛する人がいる笑顔なんだって。
あのキラキラした瞳も、恋をしているからだって。
それなら、私も近づける?
私も翔太さんに恋をしている。
だから、翔太さんに近づける?
誰かに恋をする翔太さんの、
あの笑顔に…
あの瞳に…