カミレンジャー! その3
「えっと…待ってください。私たちがこれから向かう、対抗馬…つまり、ワイルダーさんの方の名前は…あ、これ外人の方ですかね?」

 ん?いや…。それはないだろう?

「それはないでしょ?選挙という名のつくものに出るからには、原則日本国籍でないといけないんだから…。」

 いや…まぁ…ワイルダーの出馬ってことは…日本どうこうよりも、まず「人」なのか、どうかが、一番気になるところなんだけど……。

「そうですか。それじゃあ、変わったお名前ですね。ワイルダーさんの出馬は『カエサル=シーソー』さんです。」

 …

 ……

 …………うん……そうだと思ってた。

 もう、気にしない…。

 …何も、気にしない…。

 だって…

 ……考えたら、負ける…。

「なにそれ?よりにもよって、古代ローマの英雄シーザーの名を語るとは、どでかい人間も出てきたわね。」

 いや…恵、そこじゃない…そこじゃないよ…。

 きっと…

「あ、写真もありますよ。うわっ…横に長い方ですねぇ~…。てか、これ人なんですかね?公園でよく見かけるシーソーそっくりですよ。」

 実くん…それは、おそらく『そっくり』ではなく…そのままシーソーなのだと思う…俺は…。

「あのさ…俺、思うんだけど、それだったらワザワザ、邪魔することないんじゃないかな?」

 人間VSシーソー。

 もはや…それは、市長選ではない…。

「何言ってるの茂!、隊長の話聞いてなかったの?」

「そうですよ!万が一、このシーソーが、市長になったら、世界はワイルダーの手に落ちるのですよ!!」

 もう…それでもええやん。

 あいつら、うまくやってくれるよ…。
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