蒼穹‐sora‐
「あああっ!!だっ、大丈夫です!!こっちが引きとめたんですし・・・」

「でも・・・」



英世を握る手を、グッと包み込むと、彼女の胸に押し返した。





「大丈夫です。ホントに」

「・・・そう、ですか・・・?」

「はい」




僕はコクリと頷くと、慌ててパッと彼女の手から自分の手を離した。




「すっ、すいませっん!!」




ああああ。カッコつかないなぁ。やっぱ、僕はどこまで行っても僕だな。変なとこで噛んじゃったじゃないか・・・。



顔を赤くしたまま、俯いていると、声が降って来た。




「ふふっ。・・・花純から聞いた通りの方ですね」

「っ」




笑い方が、花純にそっくりだ。



それはそうか。だって双子なんだから。




「あ。じゃぁ、あなたのお名前を伺ってもいいですか?」

「あ・・・、私は・・・」




彼女が行ってしまう前に、聞いておきたかった。




彼女は一旦口を真一文字に結ぶと、小さく息を吸った。



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